写真のゴム銃は作者が大昔(1979年)に制作したアサルトハンドガンP201です。
2001年にレストア。20連発から25連発に増弾してP201改 となりましたが、今(2014年)も制作当時の姿を保っています。
今回、このP201を当時と同じ製法で再現することにチャレンジ。ろくな道具がなくても20連発銃が作れるということを実践してみました。
以下、制作記っぽく話を進めたいと思いますが、先にP201改 のページに目を通しておくほうがよいかもしれません。
まず必要なのは図面ですが、古式製法を貫くために手描きとしました。当時と同じく不要になったカレンダーの裏面を用紙として利用。
主材は3ミリ厚のシナベニヤと6ミリ角のヒノキの角材です。あとは1ミリ厚のプラ板と竹串と平べったい竹ひご。
ちなみにプラ板はタミヤ製のプラバンを使いました。ホームセンターで売っているプラ板は塩ビとかアクリルとかポリプロピレンが多く、接着性のよいポリスチレン製は見かけません。まあ、接着剤が合いさえすれば塩ビでも問題ないですけどね。
電動工具はいっさい封印。3ミリ厚とか6ミリ角といった材料を選んだのもカッターナイフでの加工が前提のため。
今回使った工具です。オリジナル作成当時の工作環境をできるだけ再現してみました。
カッターナイフ、はさみ、ピンバイス、ドライバー、紙やすり、定規、シャープペンシル、極細サインペン、木工ボンド、合成系ボンド(プラと木材の接着用)、圧着用のクリップ です。
古式製法ゆえ、スキャナやコピー機は使用不可。図面はカレンダーの裏に描いた1枚きりなので、切り刻むわけにはいかず、材料にいちいち写し取る必要があります。
異形なフレームパネルの墨つけは左右で誤差が出るのを避けるため、当時と同じ墨つけ手法を使ってみました。
まず、図面上のフレームパネルの各頂点に、シャーペンの先で小さな穴をあけます。次に図面を材料にのせ、穴を通して材料に表面に極細サインペンで各頂点をマーキング。あとで頂点を線でつなぐと、左右で誤差の出ない墨つけができるというわけです。
カットの終わったパーツです。パーツ数はかなり多目。全部カッターナイフで切り抜きました。
薄い材料を選んではいますが、けっこうパワーが必要でした。手はパンパンに腫れ上がるわ、マメはできるわ、指は切りそうになるわ、で苦行そのものでした。
こちらはシナベニヤからカットしたパーツ群。
こちらは6ミリの角材をカットしたもの。
プラ板のパーツも。
ピンやフック類は竹材を切るだけなので比較的楽ちんです。平たいのはトリガーガード用です。
バレルは6ミリ角のヒノキ材3本を接着して高さ18ミリの材を作成。(上)
乾燥後、ホールドフックを接着する面の余分な部分をカッターナイフで切り抜きました。(下)
ホールドフックです。
左右それぞれプラ板に墨つけして、カッターナイフで加工しました。今回はそれぞれ別に切り出しましたが、左右でフックの位置が微妙にズレてしまい、後加工する羽目になりました。材料自体薄いので、2枚重ねて同時に加工するべきでした。
切り抜いたホールドフックを合成系の接着剤でバレル側面に貼り付けます。まさにソーブレードです。
スライドボルトです。
6ミリ角のヒノキ材2本を接着してからラックギアのギザギザをカッターナイフで刻んでいきます。ついでに疑似フルオートレバーを差し込むための切り欠きも作っておきます。
トリガーグループはトリガーとラチェットボックスの二部構成。
まずはトリガーから。
シナベニヤから切り出した5つのパーツを接着していきます。
長いトリガーバーは片面だけにして手を抜いていますが、これでじゅうぶん強度は保てるはずです。
ラチェットボックスです。
両サイドプレートに小さな窓とラチェットシア用の軸穴を空けます。窓はキリで四隅に穴をあけたあと、カッターナイフで仕上げていきました。(上)
仕上がったら先ほど作ったトリガーの先端へ両サイドプレートを接着。プレート間をブリッジ片でつないでボックス状にします。(下)
長い竹串は位置あわせのために一時的に差し込んだものです。
ラチェットシアをボックスの中に入れ、竹串製のピンを軸穴に通して固定します。
最後に四角い窓からピンをラチェットシアに差し込みトリガースプリング兼シアスプリング(輪ゴム)の受け棒とします。
グリップはひな型をひとつ作ったあと、それを鉛筆でなぞって材料にカタチを写し取り、同形のものをもうひとつ作成。その2つをグリップベースとします。このグリップベースにはトリガーガードを取り付けるための切りこみをあらかじめ入れておきます。
次にグリップベースより幅を少しずつ狭めたグリップパネルを左右3枚ずつ作って、ひとかたまりに接着します。
あとはカッターナイフと紙やすりを使ってひたすら削り込んでいきました。