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CNCルーターのトラブル

2015年8月に導入したSTEPCRAFTのCNCルーター。おかげで糸ノコ盤や丸ノコ盤の出番がすっかり減ってしまった今日この頃です。




導入レポートで、「これから使っていくうちに、予期せぬ場面に遭遇して右往左往することになろうかと思います。」と書いたのですが、やはりあたふたする事案がいくつか発生しました。
ここでは、それを備忘録的に列記していこうと思います。
(ここまでで、トラブルの事案は5件 6件。これ以上増えないことを祈るばかりです)



 トラブル その1
 発生時期:2015年11月
 症状:Z軸ユニットのガタつき
 深刻度:大


Z軸ユニットとは切削用スピンドルの上下方向の動きを担当する部分です。
当マシンはZ軸ユニットとスピンドルの脱着がネジ1本で簡単にできる設計です。

そのためエンドミルの交換は、本体からいったんスピンドルを取り外したほうが簡単です。

ある日、いつものようにエンドミル交換後、スピンドルをZ軸ユニットに固定するためネジを締めたところ、なにやら違和感が。

Z軸ユニットがカタカタと微妙に動くのです。

マンガで誇張するとこんな感じでした。




実際はエンドミルの刃先で1ミリぐらいガタつく程度ですが、このままではCNCとしては使い物になりません。

原因としてすぐに思い浮かんだのは、Z軸ユニットについているローラー。このローラーが門=X軸フレーム(プロファイル)のレールとかみ合っていますが、おそらくそこらあたりがゆるんでいる、と。

というのも、導入当初、材料を固定するクランプにしばしばエンドミルをぶつけたことがあり、マシンにけっこう無理をかけていたからです。


対処:
Z軸ユニットを「門」から取り外して、各ローラーを固定しているネジを増し締め。幸い機械的な損傷はないようです。「門」に再度組みこんで動かしてみたところ、あっさりとガタつきがなくなりました。
ということで、トラブル自体はCNCが使いものにならなくなる、まあまあ深刻な事案でしたが、割と簡単に解決でき、ホッとしました。

しかしながら、この処理が原因でのちのち、さらに厄介なことが起こるとは、この時は知る由もなかったのでした。



 トラブル その2
 発生時期:2016年1月
 症状:マシンの迷走
 深刻度:大

正月明け、1ヶ月ぶりぐらいに稼働させたところ、作動中、あらぬ方向にマシンが走ってしまう現象が発生。

これがその実際の様子です。


次の切削開始ポイントに向かおうと空走するシーンですが、本来テーブル上を斜めに走るべきところを、途中で真横に方向転換します。当然、次の切削開始ポイントがずれてしまうので、このままではアウトです。
なにか誤信号が出ているのかな?というのが、これに遭遇した最初の印象でした。


対処1:
PCとつながっているUSBケーブルの直近にACアダプタが置いてあり、さらに電源ケーブルもごちゃごちゃにからまってました。
そのせいで電磁波かなにかが悪さしているのかもと思い、ACアダプタをマシンから離し、電源ケーブルを整理。
結果、問題解消!と思ったのもつかの間、ほどなくして再発。

対処2:
USBケーブルの不具合かなにか?
ということで別のケーブルに交換。
結果、問題解消!と思ったのもつかの間、ほどなくして再発。

対処3:
Gコードの記述間違い?
そこで、Cut2Dで慎重にGコードを作り直しました。
結果、問題解消!と思ったのもつかの間、ほどなくして再発。

対処4:
ソフトのプログラムのエラー?
コントロールソフト(UCCNC)をPCへ再インストール。
結果、問題解消!と思ったのもつかの間、ほどなくして再発。

対処5:
寒さのせい?
純正グリスがこの時期の環境に合ってないのでは?
そこで極圧性に優れたモリブデングリスをホームセンターで購入。Y軸のスクリューに塗ってみました。
結果、問題解消!と思ったのもつかの間、ほどなくして再発。

対処6:
ここではじめて、メーカーサポートに連絡。
トラブルの動画を示して、対策を請うてみたところ、「組み立て・調整に問題ないか?グリスは定期的にちゃんと塗っているか?」という当たり障りのない回答しかなく、がっかり。
行き詰ってしまい、しばらく放置。

対処7:
初心に戻り、動作を観察・整理。

●異常が起こるのはY軸方向(前後)の動きだけで、X軸方向(左右)は問題ない様子。
●まるでなにかの障害物にぶつかって、それ以降は真横(X軸方向)にしか進まない感じ。
●同じGコードでも起きたり起こらなかったりだが、発生する場合はほぼ同じポイントで起こる。
●切削中は発生しない。次の切削開始ポイントに向かう空走区間で発生する。
●手動でY軸方向に動かすとたいてい問題ないが、まれにガツンととまることがある。

障害物にぶつかるような感じ、そして手動でまれにとまる・・・
もしかしてY軸のリードスクリューに変形等の異常があるのかも?

しかし入念に点検したものの、特に異物やカジリは見当たらず。

対処8 解決:
そんなわけのわからない試行錯誤の沼にはまっていたところ、
ホームポジションと呼ばれる初期位置にマシンを戻した際、たまたま「門」の足の位置が左右で微妙に(1-2ミリほど)ズレているのを発見しました。

STEPCRAFTのCNCは左右2本のリードスクリューでY軸を駆動しますが、左右の足の位置がわずかにズレていたことで、バランスを崩しつつも無理やり動いていたのです。
そして、いよいよストレスに耐えきれなくなるポイントで、ガツンとロックがかかったみたいになって、Y軸方向の動きが止まってしまうというのが、このトラブルの原因ではないかと考えたのでした。

つまり、メーカーサポートのありきたりな回答と思っていた「組み立て・調整に問題ないか?」が正解だったのでは??

思い返せば、先の11月のトラブルで、ローラーの増し締めのためZ軸ユニットを脱着しましたが、この作業で左右の足の位置のバランスを崩したまま組んでしまったようです。

この原因に気がつくまで、あれこれ回り道して3週間ほどかかってしまいました。
そして、左右の足の位置をきっちり調整しただけで、なにごともなかったようにスムーズに動くようになり、ようやく問題解決に至りました。



 トラブル その3
 発生時期:2017年4月
 症状:コントロールボックスから異音
 深刻度:中

電源を入れるたびに、専用スピンドルの外付けコントロールボックスから異音が発生。

これがそのコントロールボックス。電源ONのあと、1分ほど嫌な音が続きます。


まずは異音の発生源を調べます。中を開けてみたところ、犯人はコントロールボックス内の電源ユニット。その中の冷却ファンのベアリングが鳴いている様子です。

ここで考えられる対処法は2通り。

対処1:
メーカー修理。
対処2:
同じタイプの電源ユニットを調達して自分で交換。


まだ保障期間中だったので、メーカー修理を依頼することにしました。故障内容は明確ですが、発送の段取りや手続き面でけっこう面倒くさい結果に。
メーカーサポートに異音の動画を示したところ、スピンドルとコントロールボックスをセットで送ってほしいとのこと。

ただ、ここで思わぬ難問が発生。
マグネットを内蔵した機器(モータやスピーカなど)は特別な輸送方法が必要で、海外へは個人発送できないのです。これは日本郵便やその他配送業者への問い合わせでわかった確かな情報です。

そこで、具合の悪いコントロールボックスだけ送ることでサポートの了解を取りつけました。
もっとも、センドバック方式のため、修理先(ドイツ)へ送る費用はこちら持ち。一番安いヤマトの国際宅急便でも軽く5000円オーバー。海外製品個人輸入のデメリットがここでもろに出ました。

また、単なる修理依頼とはいえ、形の上では輸出扱いになるので、インボイスやら告知書やらの書類も必要ですし、あちらに関税がかからないよう気を利かせた書き方もしなきゃいけません。
ヤマトの集荷のにいちゃんも、わけ判らなくてこっちに書類のさばき方聞いてくるし・・・

荷物を送ったら送ったで、ドイツの関税当局らしいところで滞留してなかなか相手に届かないし、メーカーはメーカーで、修理後、返送する時に書類不備で荷物を差し戻されるしで、まあ、ややこしいことがいっぱいありました。

実は同じタイプの電源ユニット、中国製なら3000-4000円ぐらいで入手可能。費用や手っ取り早さを考えるなら自分でやったほうがよかったのですが、ミスや勘違いでコントロールボックスをおしゃかにするリスクが絶対ないとは言い切れません。
そこで今回は安全を取ってあえてメーカー修理を選んだしだいです。
次回は絶対、自分で交換しますけど。



 トラブル その4
 発生時期:2017年4月
 症状:ドレメル4000(予備スピンドル)から発煙
 深刻度:小(金銭面ではけっこう痛い)


コントロールボックスを修理に出している間、予備として置いていた初代スピンドルのドレメルを使ってましたが、切削中に焦げ臭い煙が部屋中に充満。モータが焼け切れてお亡くなりになりました。
中古品だったとはいえ、昇天するのはちょっと早過ぎです。それともこういう用途(長時間運転)にはそもそも向いていないのかも。一応メーカー指定のモーターツールだったのですがねぇ・・・



 トラブル その5
 発生時期:2019年5月
 症状:マシンが動かない
 深刻度:大


切削中に急きょ外出することになり、コントロールソフトのボタンで一時停止状態にして、スピンドル(のコントロールボックス)の電源のみOFFにしたのですが、この普段やらない操作が墓穴を掘る結果になりました。

帰宅後、スピンドルの電源を入れ直して再稼動。しかしコントロールソフトの画面上の数値カウンタは動いている素振りを見せるものの、マシンはまったく作動する気配なし。いろいろ試しましたが、らちが明かずメーカーサポートに連絡。
サポート曰く、PCの長い休止で省電力機能が働いてUSBの信号がおかしくなったのでは、とのことですが、どうやらそんな一時的な原因ではない模様。

そこでいったん振り出しに戻ろうと、記憶を頼りに通常時との違いを探ったところ、電源コードをつないだ際にマシンから聞こえていた、小さな「コンッ」という通電音がしないことに気がつきました。
あっと思い、マシン背面の通電ランプを視認したところ、案の定ランプは不点灯のままです。つまりマシンに通電していないことが判明。
なお、ACアダプターを確認したところ、先端のプラグまではきちんと30Vが来ていて、電源系は問題なしでした。


どうやら、いきなりスピンドル(のコントロールボックス)の電源を切ったことでマシン内の制御ボードのどこかが飛んでしまったようです。ヒューズ交換で済むかとボードをくまなく調べましたが、ヒューズは回路内に組み込まれていて交換不可でした。

対処:
もはや、なすすべがないので、ボードをメーカーから取り寄せることになりました。ドイツからはるばるやって来ることになるので、ついでに他のスペアパーツもいくつか注文します。
1週間ほどしてボードが到着。交換・結線し直したところ無事動くようになりましたが、不用意なことをしてしまい痛い出費となりました。



 トラブル その6
 発生時期:2022年1月
 症状:マシンの迷走(再発)
 深刻度:小

トラブル その2と同じ現象(作動中、あらぬ方向にマシンが走ってしまう=Y軸方向の動きがロックされる)が再発。
まあ、元々Y軸の左右のバランスが狂いやすい構造で、前回から6年ほど経っているので、それがまた発生したということですね。
今回は前回の経験とSTEPCRAFTの公式YoutubeチャンネルでY軸の調整方法の動画が用意されていたこともあり、気持ち的にはけっこう余裕がありました。動画に従ってマシンを小分解・調整したところ無事復活しました。
英語のため、わかりにくいところもありましたが、それでも指南動画があるとないとではえらい違いだな、と思った次第です。

2018.05.20 UP
2022.01.25更新

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