3年ぶりに制作したフカヒレ方式の連発銃、P213スクエアIIです。
パッと見はP201スクエアとたいして変わりませんが、実は新しい機構をさりげなく組み込んであります。
旧型のP201スクエアとの比較です。右が今回作ったスクエアIIです。
トリガーやリリーサの形が違いますが、そこは些細なところで、隠れたところに決定的な違いがあります。
ラチェットを使ってフカヒレ状のリリーサをリニアに送りながら輪ゴムを押し上げて発射する仕組みは、従来どおりです。
ただ、これまでのフカヒレ方式には、操作する上で独特な儀式が必要でした。
それは発射後、後退したリリーサを手で初期位置まで戻さないといけない という点でした。
(画像はP201スクエアの操作手順)
1 . 片手でラチェットシアを下げながら
2 . もう一方の手でリリーサを戻す
このようなツータッチ操作が必要ですが、知らない人にとっては訳のわからない操作なのは確かです。
そこで今回、ラチェットシアを自動的に上下動させる機構を組み込み、シアの存在を気にすることなく、リリーサを戻すだけのワンアクションで事が済むように改良してみました。
これが自動上下動機構のキモになる部分です。
といってもタネは簡単で、プッシュプレートという出っ張りをフレームに追加しただけなのでした。(矢印)
仕組みも単純です。
トリガーが前方へ戻っている状態では、ラチェットシアはプッシュプレートにあたって押し下げられます。
トリガーを引くと、プレートの影響を脱したシアが上昇するという単純なカムの機構を利用しただけ。
旧型のスクエアと新しいスクエアII。
ラチェットシアのポジションの違いは一目瞭然です。スクエアIIのシアはボックス内に隠れて見えません。
P201系伝統の「輪ゴム1本でトリガースプリングとシアスプリングを兼用させる手法」は今回採用を見送り、シアスプリングをボックス内に内蔵させました。
そのためラチェットボックス周りはすっきりしています。
装弾数は無理せず10発に抑えました。そのかわりバレルとフレームの接合部の面積が増えているので、強度は上がっているはずです。
材料はP201スクエアとほぼ同じで、ヒノキが主材です。
グリップにはケヤキを使用。
仕上げは薄めたウレタン(クリア色)で軽く拭き上げました。
今回、採用したラチェットシアの自動上下動機構、原理自体は簡単ですが、作動も確実で作者はけっこうお気に入りです。
これで何も知らない初心者に銃を渡しても、ラチェットシアを壊される心配がなくなりました。
さて、今回紹介したP213スクエアIIには、ほぼ同時に制作を進めたP214モドッチャオという連作モデルが存在します。
同じようなコンセプトの(ラチェットシアを壊される心配がない)モデルですが、スクエアIIとは似ても似つかない外見と構造に仕上がっています。そちらのモデルの紹介ページは鋭意制作中です。公開までしばらくお待ちください。
P214モドッチャオの紹介ページへ
<制作年> 2010年9月
<モデル名> P213 SQUARE II スクエアII
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 380ミリ
<銃身長> 205〜275ミリ
<装弾数> 10発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> ヒノキ(フレームおよびバレル)、ケヤキ(グリップ)、シナベニヤ(リリーサ)、竹串
<塗装> 薄めたウレタンで拭き仕上げ
2010.09.11 UP