9連発ハンドガン、P801クモンが完成しました。
連発機構のアイデアとして一番近いのはP401ブイ。
ブイの前方引き込み式のピンを後ろへ引く形にアレンジ。ホールドをタテ配列から前後配列へ変更したものになります。
1番の特徴は "く" の字型のホールドフックです。
見てのとおり、"く" の字の斜面から滑り出そうとする輪ゴムをカンヌキ状のパーツで抑え込み、カンヌキを後ろへ引くことで輪ゴムを解放する原理です。
名称のクモンは、"くの文字" という意味。また、9発分のゲート(9門)という意味も。あとから出てきますが "苦悶" も若干引っ掛けています。
このうしろへカンヌキを抜く方式、構造上、輪ゴムを装填するのが厄介です。
それに対処するための苦肉の策が、"く" の字パターンのホールドフック。
もしホールドフックがストレートに前傾しているだけだと、輪ゴムを指で押さえながら、カンヌキを前進させる作業が必要。これを9発も繰り返すのはかなりの難行です。
"く"の字にすることで、とりあえず輪ゴムの引っかけ作業は、ちゃっちゃと片付けてしまおうという作戦なのです。
実際の操作ですが、カンヌキをガシャっとうしろへ引いて装填部を開放。"く" の字の下の部分へ輪ゴムをかけていきます。かける順番はうしろのホールドから。
輪ゴムの装填が終わったらカンヌキを前へ戻す必要がありますが、トリガーをグッと引き絞ると自動的にカンヌキが閉まる構造にしてみました。
また、作動不良も考慮して、カンヌキが確実に閉まるようにトリガーを強制的に押し下げる指かけも設けました。
トリガーホールがそれにあたりますが、この穴はただの飾りで空けたわけではないのでした。
さて、あと一息です。
最後に輪ゴムを "く" の字の上部へ移動させないといけませんが、それを手でチマチマやるのはやってられません。
そこでリフターを設置。フレーム上面のノブを引くと、"く" の字の上部へ輪ゴムが一斉にチャージされます。
これがリフターを操作するノブです。ノブは引いたあと指を離すと元の位置へ戻ります。ちょこっと見えているのは戻し用の輪ゴム。
チャージが完了しました。
"く" の字の上部へ輪ゴムが移動していますね。
これでようやく発射準備が整いました。あとはトリガーを引くとカンヌキが後退。輪ゴムが発射されます。
撃つたびにカンヌキがズンズン、銃のうしろへ飛び出てきます。
残弾がなくなるとカンヌキが自動的に前方へ戻る機能も付けました。
補強としてフレームパネルに20ミリ幅のサブパネルを貼りつけました。
グリップはやや異形。デザインテーマにもなっている "く" の字の斜めのラインに合わせるべく、上端を大きく斜めにカットしました。
バレル先端に穴を開けた板材を貼りつけ、4ミリ径の丸棒を差し込みました。丸棒は引っかけるのではなく、マズルマウスの上くちびるとして使います。
右側面から。
左側面から。
材料はシナベニヤ、ヒノキ、そしてラミンの角材がメインです。グリップはケヤキを使用。
操作がややこしいので、しばらく放っておくと使い方を忘れてしまいそうなP801苦悶・・・クモンでした。
実はカンヌキを使わずとも、リフターをラチェット機構で送るようにすれば、連発動作ができてしまいます。ただ、それだとP200型の斜面滑射式そのものになってしまいます。
まあ、このようなカンヌキを抜いて解放するやり方でも連発化が可能です、という試作的な意味合いが強い作品です。
この方式の長所をあげるとすれば、装填された輪ゴムがちょうどよい抵抗となって、カンヌキの逆進が起こりにくいところですね。
あと、カンヌキを手で引くと擬似フルオート射撃ができるというおまけ機能が付いています。このあたりはP200型の斜面滑射式も同じですが。
「百聞は一見にしかず」ということで射撃動画をご覧ください。
射撃動画
<制作年> 2012年6月
<モデル名> P801 KUMON クモン
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 360ミリ
<銃身長> 245〜309ミリ
<装弾数> 9発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> シナベニヤ、ヒノキ、ラミン、ケヤキ、竹串
<仕上げ> 薄めたウレタンによる拭き仕上げ
2012.06.17 UP