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P604 カチット
OGG CRAFTの手作りゴム銃・ゴム鉄砲
バレルロッキングシステム搭載のセミオートハンドガン

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昔ながらの割りばし式ゴム銃でもホールド部分に輪ゴムを2〜3本掛けられるようにすれば即席の連発銃になります。
とは言え、そこは即席なのでトリガーを一気に引くと全弾バーストしてしまうという欠点もあります。

そこで、この発射方式を踏襲しつつ「トリガーひと引きで1発必射」を実現できる仕組みを考えてみました。

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このような多段式ホールドの場合、1発目と2発目ではホールドの角度が違うため、トリガーの引きしろが変わるという特徴があります。
今回はそこに着目。この引きしろの変化を元にして、連発セミオートさせる方法を考えてみることにしました。

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ということで完成したP604カチットです。
装弾数は2発とショボいですが、きっちり連発セミオートとして作動します。

2連発は単発より1発多いだけに過ぎませんが、きっちりセミオートさせようとすると、機構の難しさは天と地ほど違いがあり、そこが作っていて面白いところです。

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まずは外観から。バレルは上下2連タイプです。

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上段の幅のせまい方が1発目の、下段の幅の広い方が2発目のバレルです。下段のバレルはフレームを兼ねており、そのまま銃の後端まで続きます。

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さらに上段のバレルは前後にスライドする構造で、もはや割りばしゴム銃とは次元の違うつくりになっています。
このスライドバレルには復帰スプリング(ゴム)が働いているため、通常はフレームの前方に位置していますが、輪ゴムを装填するとその力に引っ張られて後方へ20ミリほど"ショートリコイル風" にスライドします。

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異形のホールドフック&トリガーです。酔狂でこんなカタチにしたわけではなく、あくまで必然の結果です。なんとなくフリントロック(火打ち石銃)の撃鉄を思わせます。

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輪ゴムを2発装填したところです。

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動作説明です。
スライドバレルは装填された輪ゴム(緑)に引っ張られトリガー直前まで後退。この状態でトリガーを引いても、トリガーシアがバレルの底に当たってしまい、それ以上トリガーは倒れることができません。
それでも1発目(緑)が滑り出すぐらいの角度には倒れるよう設定しているので、これで1発目発射になります。

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1発目を発射した瞬間、輪ゴムの張力から解放されたスライドバレルは復帰スプリングの力で前進しようとしますが、トリガーシアにロックされているため、動くことができません。
ちなみにバレル後端もトリガーシアがうまくはまりこむような形状になっています。

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トリガーを戻すと、ロックを解かれたスライドバレルは前進し、定位置まで戻ります。
ここで再びトリガーを引くと、今度は動きを邪魔するものがないため、深く引きしぼることができ、めでたく2発目が発射されるという仕組みです。
つまり、バレルをストッパーとすることで、1発目と2発目でトリガーの引きしろを変えているわけです。

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フレーム、スライドバレルはヒノキ。トリガーとグリップベースはシナベニヤを2枚貼り合わせて強度を確保しました。グリップはブナです。

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右は試作品です。外観こそ本番モデルより手が込んでいますが、バレルのスライド機構を外部に露出させたため、スライド用の軸と輪ゴムが干渉してしまうという欠点があります。
さらにロッキングが甘く2発目がバーストしやすかったため、結局作り直すことになりました。
左の本番モデルは外観は控えめになりましたが、スライド機構をフレームの中に隠し、ロッキングの正確な作動を主眼に再設計しました。

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動画

「百聞は一見にしかず」ということで、作動の様子を動画でご覧ください。


● 諸 元 ●

<制作年> 2008年8月
<モデル名> P604 KACHITTO カチット
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 375ミリ
<銃身長> 250ミリ(1発目)、275ミリ(2発目)
<装弾数> 2発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> ヒノキ、ラミン、ブナ、竹、ヒートン
<塗装> -

2008.08.17 UP

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