性懲りもなく、またステップアップ方式の連発銃を作ってしまいました。
このステップアップ方式、簡単に説明すると、階段状のホールドフックに複数の輪ゴムを装填。
「なんらかの方法」を使ってその輪ゴムを一斉に一段上のステップへ移動させ、行き場の失った最上段の輪ゴムのみを発射してセミオートアクションを実現するための連発機構です。
で、この「なんらかの方法」にはいろんなやり方が考えられるわけですが・・・
2002年のこれ(P301アーク)を手始めとして・・・
これ(P302アークII)とか・・・
これ(P303ギザ66°)とか・・・
これ(P306オッタマゲタ)とか・・・
これ(P307ダルク)とか・・・
これ(P402クロスオーバー)とか・・・
これ(P608モーグル)をこれまでに作ってきました。
いずれも「全弾一斉に一段上のステップへ移動させる」という基本は同じものの、移動のさせ方や制御メカニズムについて、まったく同じにならないように作ったつもりです。
(その違いが明確にわかるのは作者だけかもしれませんがw)
さて、前フリはこれぐらいにして、今回作ったP312アップル。
いかにもステップアップ連発銃的な外観ですが、やはり、これまでの作品と微妙に違う動きで輪ゴムをステップアップさせるように考えたモデルです。
フレーム後端に刻んだホールドフックはこれまでになかった半円形。輪ゴムを上のステップへ滑らせて移動させるのには、かなり不利な形状をあえて採用しました。
リリーサの送り部分も同じく半円形。最上段部のみ斜面になっていて、ここで輪ゴムを発射します。
6発の輪ゴムをフル装填したところです。かける順番は下から。
可動パーツは、このひねくれた形のトリガー1点のみ。
それでは本作のステップアップアクションの説明を。
トリガーを引くと、リリーサが後方へスライド。上部の斜面が最上段の輪ゴムを押し上げて発射します。(左の画像)
同時に輪ゴムのテンションを受けたリリーサが、モーメントの法則により矢印の方向へ上昇。ちょうどホールド1段分上がったところでフレーム内の壁に当たってストップします。(右の画像)
トリガーをゆるめると、リリーサは1段分上がったままの状態でフレーム内へ。ホールドフックへ輪ゴムを返して、ステップアップが完了するという仕組みです。
あとはトリガーを引くたびにこのアクションが繰り返されます。
リリーサの動きはP301アーク や P307ダルクのそれに近いですが、これらがトリガーを引く指の力のみで輪ゴムをせり上げているのに対し、本作は輪ゴム自身のテンションも利用しているのが特徴です。
フレームパネルは2.5ミリ厚。フレームの間隙を9ミリとしました。
当初、トリガーガードはつけないつもりでしたが、トリガースプリングの付け場所をあれこれ探ってみたところ、トリガー前面に引っ張りポイントを設けるのがベストなのが判明。
そこで急きょ、ハーフタイプのトリガーガードを追加して、スプリングの目隠し兼ボディ側の取り付けポイントとしました。
右側から。
左側です。
銃身長は295ミリありますが、全長は305ミリとコンパクトです。
フレーム、トリガーリリーサはシナベニヤ。グリップはケヤキ。バレルやインナー材はヒノキです。
「百聞は一見にしかず」ということで射撃動画をご覧ください。
射撃動画
<制作年> 2012年7月
<モデル名> P312 UPPLE アップル
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 305ミリ
<銃身長> 295ミリ
<装弾数> 6発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> シナベニヤ、ヒノキ、ケヤキ、コイルスプリング
<仕上げ> 薄めたウレタンによる拭き仕上げ
2012.09.02 UP