P216アウトレットが完成しました。パッと見はトリガーガード付きのP202MPといった趣きでさほど新鮮味はありませんが、さりげなく新しいギミックを搭載。
うしろから眺めると同じような作りになってますね。それにしても10年前に作ったP202MPの黄変ぶりはハンパないです。
連発機構はいわゆるフカヒレ方式(ソーブレード&シャークフィン)。
ラチェットシステムを使って、ヒレ型のリリーサを1発分ずつ後退させ、その斜面で輪ゴムをせり上げて発射する仕組みです。
このへんはP202MPとなんら変わるところなしです。
装弾数は8発に設定しました。
P202MPの場合、撃ち終わったあと、手動でラチェットシアを下げながらリリーサを初期位置へ戻すツータッチ操作(プッシュ&スライド)が必要ですが、本作では手を触れることなくリリーサが初期位置へ自動的に戻るようにしました。いわゆるオートリターン機構です。
他の方式 - 回転翼式やステップアップ式などの場合はそもそもリリーサを戻すという概念がなく、「戻る機能が何か?」と思われそうですが、実はこれまでP202系に組み込むのは不可能と思い込んでいたギミックです。
リリーサに直付けされた輪ゴムが見えます。
リリーサは常にこの輪ゴムに引っ張られて初期位置へ戻ろうと(逆進しようと)しますが、途中でリリーサが逆進してしまうと連発動作が破綻してしまいます。
そのため射撃中はリリーサが戻らないようにロックする必要があるわけで、そこらへんの制御がこのモデルの肝になります。
訳あって、ここではその詳細の説明は差し控えますが、興味のある人は一度仕組みを夢想してみてください。参考までにP202MPの写真を載せておきます。基本構造はほぼこのままです。
フレーム内側のガイド溝に沿って、リリーサとトリガーの支点軸がスライドします。
上がリリーサ用の溝。下の短いのがトリガー用です。右端に写っているのはリリーサの一部。
溝を二段にしたのはトリガーの位置を下げて、リリーサの戻し用の輪ゴムがその上を横切れるようにするためです。
バレルの根元。輪ゴムを取り回すためのピンでごちゃついてます。
フレーム高は20ミリ。P202シリーズならではの細身のスタイルです。
名称のアウトレットはオートリターン(AUTO RETURN)から命名しました。
メインフレームには市販の三角柱型の工作材を使用。
インナーフレームの下部を突出させて、トリガーガードの取り付けしろとしました。
右側から。
左側です。
メインフレームはヒノキ。トリガー、バレル、インナーフレームはシナベニヤを使用。グリップはケヤキです。
薄めたウレタン塗料(クリア色)を使ってオイルフィニッシュ風に仕上げました。
「百聞は一見にしかず」ということでリリーサが自動復帰する様子を動画でご覧ください。
射撃動画
<制作年> 2012年6月
<モデル名> P216 AUTORETTO アウトレット
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 370ミリ
<銃身長> 270〜326ミリ
<装弾数> 8発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> シナベニヤ、ヒノキ、ケヤキ、竹串
<仕上げ> 薄めたウレタンによる拭き仕上げ
2012.06.10 UP