フカヒレ方式の連発銃、P214モドッチャオが完成しました。
実はこれ、先に公開したP213スクエアIIと同時に制作したもので、コンセプトは同じライン上にあります。
P213スクエアIIは既存のデザインを流用したコンサバ路線。
一方、モドッチャオは新しいアイデア、デザインを投入。ドラスティックに攻めてみました。
両モデルとも撃ち終わったあとの操作の簡略化が狙いですが、モドッチャオはスクエアIIの操作性をさらに進化させ、「なにもしなくても勝手にリリーサが戻る」というオートマチックな機構を搭載したのが売りです。
ラチェットを使ってリリーサを後方に送りながら輪ゴムを押し上げて発射する仕組みは、これまでのフカヒレ方式と同じ。
パネル状の大きなリリーサとそこから斜めに突き出た長いホールドフックが外見上の特徴です。
パッと見ではわかりにくいですが、バレルとリリーサは一体化しているのでトリガーを引くと一緒に後退します。
そのため、初弾から最終弾までバレル長は同じです。
ここは従来のフカヒレ方式と異なるところです。
リリーサを自動的に戻すには、例えばこのイメージ画像のような復帰用のテンションが必要です。
ただ、フカヒレ方式(というかラチェット式)の欠点として、トリガーの戻しにつられてリリーサが前に戻ってしまう「逆進」という現象が起こりがちです。
そのため、このような復帰用のテンションをかけることは逆進を助長するだけなので、本来は禁じ手のはずです。
しかし、自動復帰を実現するには、やはりなにがしかの復帰用テンションが必要です。
そこで考えたのが、P401ブイ風のレイアウトにして、さらにバレルとリリーサを一体化することでした。
こうすると、輪ゴムの装填時にリリーサを後方へ押す力が発生し、復帰用のテンションをキャンセルできそうだったのです。
矢印は復帰用のゴム。輪ゴム弾1発分のテンションより 弱く セッティングします。
トリガーを引くたびにリリーサが後退。それにともなって、復帰用のゴムも伸ばされていきます。全弾撃ち尽くした瞬間、それまで輪ゴム弾のテンションに抑えこまれていた復帰用のゴムが本領を発揮。リリーサを一気に前方へ戻します。
次は、復帰の邪魔になるラチェットシアの処理です。これはP213スクエアIIで採用したプッシュプレート機構を使ってもよかったのですが、徐々にシアが上昇する仕組みのため、モドッチャオにはあまり合わないと判断。
他の方法を模索しました。(上はP213スクエアIIのプッシュプレート機構)
それというのも、モドッチャオのスライドボルトはノッチ間隔が狭くてラチェットシアの上昇を待つだけの余裕がないのです。
そこでトリガー前面にシアの一部を露出させ、トリガーに指を掛けた瞬間にシアが上昇する構造を考えました。
ちなみにトリガーから指を離すとシアは自動的に引っ込みます。
以上がリリーサを自動復帰させるための仕掛けです。理屈どおりにいけば、撃ち終わったあとトリガーを戻すだけでリリーサが原点位置へ戻るはずです。
装弾数は8発です。
装填した状態で見ると、ますますP401ブイっぽくなります。それもそのはず、両者、連発の考え方は同じで、固定パーツと可動パーツが逆なだけといえるからです。
トリガーはひし形状のパネルから後方に突き出るようなレイアウトになりました。トリガーガードはハーフタイプ。トリガーと正対するようなデザインにしました。
なお、スライド部分が大きな面積を占めているので、牽引用の輪ゴムを配置するところがありません。
そこでやむなく銃の左サイド外側にむき出しにする形で場所を設けました。
輪ゴムを引っ掛けるペグは小さなプラスチックパイプをスライスして、丸棒にはめ込んで作ったものです。
主材はラミン。 リリーサ、フレームパネル、トリガーはシナベニヤで作りました。ホールドフックは竹串。グリップはケヤキです。
薄めたウレタン(クリア)でさっと拭き仕上げしました。
「百聞は一見にしかず」ということで、射撃シーンを動画でご覧ください。撃ち終わったあとのリリーサの動きに注目です。
<制作年> 2010年9月
<モデル名> P214 MODOTCHAO モドッチャオ
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 360ミリ
<銃身長> 295ミリ
<装弾数> 8発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> ラミン(フレームおよびバレル)、ケヤキ(グリップ)、シナベニヤ(発射プレート、フレームパネル、トリガー)、竹串
<塗装> 薄めたウレタンで拭き仕上げ
2010.09.17 UP