CNCを動かすためには、
(1) CAD (2) CAM (3) CNCコントロールソフト
という3つのソフトが必要です。
(1) CADはいわゆる図面を作成するもの。
(2) CAMはCADで作った図面を元にして、使用するビット(刃物)、その回転スピードや切削スピード、切削ルート等を設定。Gコードファイルを生成するもの。
(3) CNCコントロールソフトはGコードを読み込んでマシンを動かすためのもの。普通、メーカーがマシンに適合するソフトをあらかじめ指定している場合が多いです。
作者が使っているCAD/CAMソフトは、
●CAD --- Inkscape(フリーソフト)
●CAM --- Vectric Cut2D(有償ソフト)
Inkscapeで作成したdxf、eps、pdf形式のファイルをCut2Dに渡してGコードファイル化するわけですが・・・
もっとも、作者の使っているInkscapeはdxfがうまく吐けない不具合が・・・(泣)
この2つのソフトの組み合わせ。ある困った問題が存在するのでした。
●図形が化ける問題●
実例を挙げてみましょう。
これはInkscape(CAD)で作ったepsファイルをCut2D(CAM)で開いたものですが・・・
画面を拡大してみると
右側の円が曲線ではなく、細長い短冊で疑似的に描画されています。これじゃ円ではなく、短冊の集合体です。
このように図形が化けてしまうことが多々あって、CAMの素材として使いものにならないのでした。
●問題が起こる時の条件●
では、どういう時にこんな現象が起こるのか?
左の円 --- 円形ツールを使って描いたもの
右の円 --- 左の円をコピペして、90度回転させたもの
ですが、どうやらInkscape上で回転や反転操作をした図形をCut2Dで開くと、往々にしてこのような不具合を起こすようです。
上の例はepsファイルを読み込んだものですが、pdfでも同様です。なお、そのpdfを他の閲覧ソフトで開いた場合は、何も問題なく描画されます。Cut2Dに読み込ませた時だけ起こる不具合です。
つまりInkscapeとCut2Dは相性が悪いと。
しかし、これでは先に進めませんので、対策をいくつか考えてみました。
図面をInkscapeでなく、Cut2D上のCAD機能を使って作成する。
コピペしたパーツを画面キャンバスに並べ散らかして試行錯誤する作者の作図スタイルにまったく向いていません。やはり慣れたInkscapeを使いたい。
Inkscapeで作図 → Illustratorに読み込んでaiかepsかpdfで保存 → Cut2Dで開く。
これは問題ありません。Illustratorがうまい具合に変換器の役目を果たし、きれいなデータを吐き出してくれます。
それなら最初からIllustratorで作図せんかい!ってなりますが、実はIllustratorは持ってなくて、体験版で試してわかったことです。
ちなみに、COREL社のCorelDRAWも同じように変換器替わりに使えました。
Inkscapeで作ったファイルを "変換系のソフト" を使って、Cut2Dに渡せる形式にする。
ベクター画像の形式を変換するソフト(例:svg→dxf)や、仮想プリンタとして働くpdf作成ソフトを使う手です。
結果はエラーが出たり、変換できても図形のサイズが変わってしまったりとかで、今のところまともに使えるものは見つかっていません。
まあ、この手の変換系のソフトはいっぱいあるので、中にはうまくはまるモノもあるかも?ですが、フリーのものはマルウェアが怖いという懸念も。
Inkscapeをあきらめ、JW_CADなどのdxfファイルを吐き出せるCADソフトで作図する。
これまでにInkscapeで作ったsvg形式の図面が使えなくなるのが致命的。
それと、この手のCADソフト、作者は昔からすぐに使い方を忘れてしまうというか馴染めないところがあるのです。本来、建築とかに使うのがデフォっぽいのですが、パーツを画面キャンバスに並べ散らかして作図する作者のやり方に合わないのかな・・・
ここからはCut2Dの使用が前提という主旨からはズレてしまいますが、参考までに思いついた代替案をメモっときます。
●代替案1●
Inkscapeにプラグインを入れると直接Gコードが作成できるようになるので、それをCAMとして使う。
やってみましたが、まあ使えません。
プラグインごときにCut2D並のCAM機能が期待できないのは当然かな。
Cut2Dをあきらめ、Inkscapeで作成したsvgファイルをそのまま読み込めるフリーのCAMソフトを使う。
例えば、米国InventablesのEASEL。
同社のCNCマシン、X-Carve用にフリーで公開されているCAD-CAM-CNCコントロールソフトをひとつにした統合ソフトです。ブラウザベースなので、使用するにはネット接続が必要。
ネット越し操作特有のリモコン感や、今のところCut2Dほどには細かい設定ができないという弱点がありますが、かなりまともに使えそうです。
Cut2Dは有料のCAMソフトですから、作者としてはやはりこれを使わないわけにはいきません。
そうなると、対策案2が最善策。Illustrator か CorelDRAWで作成したデータをCut2Dに渡すのが最もスムーズです。最初はInkscapeの変換器として使ってもいいし、慣れてきたらそれで作図を覚えればいいわけですから。
ああ、またお金が飛んでいく〜〜〜。
(2025/8/1追記)
●朗報!これで最終解決?●
結局のところ、adobeが一時開放してくれた旧版のIllustratorを入手。Inkscapeの「ファイル変換器」として使い続けて、気づけばもう10年。
そんなある日、なんとなく新しいInkscapeを試したところ、バージョン1.2以降ならCut2Dでそのまま読み込めるファイルが作れることがわかりました。
ファイル形式はdxf。
古いInkscapeはこの出力がほんとダメで、エラーが出て使い物にならなかったのですが、「AutoCAD DXF R14」形式で書き出せば問題なし。Cut2Dでもすんなり読み込めます。
ただ、相変わらずepsやpdf形式の出力では、図形が化けて使い物にならないのは変わってません。
2016.05.18 UP(2025.08.01追記)