2012年3月、同工異曲の連発モデルを立て続けに3挺制作。
その2作目に当たるP310ブレッドナイフについて解説します。
コンセプトは「第1弾、P309スラリーの連発機構はそのままに装弾数をアップ!」
スラリーは撃つたびにトリガーがグリップから遠ざかるため、装弾数を増やせないという欠点がありました。(詳細はスラリーのページ参照)
そこで、「トリガーがいくら遠ざかっても、引く位置は遠ざからない」という一見矛盾する要件を満たすべく作ったのが本作です。
パン切りナイフあるいは山刀を思わせる異形なデザインが特徴です。
フレームから頭を出しているのがリリーサです。
装弾数は6発とスラリーに比べると倍増しました。とりあえずコンセプトはクリアです。
輪ゴムは先にうしろのホールドから発射されます。
フレームのえぐれた部分から顔を覗かせているのはリリーサですが、これがトリガーでもあります。
後ろへ引くのではなく、引き上げる感じで操作します。
リリーサの前端を円形に加工して大径の回転軸にしました。
ここがゆるやかに回転しつつ、フレーム内をスライドします。
動くパーツはこれだけで、いわゆる"可動パーツ1点主義"のモデルです。
リリーサは牽引ゴムで常に矢印の方向へ引っ張られていますが、装填された輪ゴムに当ってそこで止まる仕組みです。つまり弾自身がリリーサの位置決めデバイスの役目を果たしているわけです。
トリガー(実はリリーサ)を引くと、リリーサが輪ゴムを押し上げ発射。その後すぐに次の輪ゴムまで前進してストップ。あとはトリガーを引くたびにこの動作が繰り返されます。
当初、両刃タイプのホールドの片側だけに輪ゴムが残るというジャムが頻発。
トリガーを引く方向から考えるとP309スラリーで作動不良の元になった後ろへ滑る要素はないので、作動不良は起こらないと考えていたのですが、実際はなにがしかの対策が必要でした。
そこでP309スラリーにならって、リリーサをツインピークス型に改造したところ、状況は一変。確実に発射できるようになりました。
リリーサとは関係ありませんが、画像をよく見ると各ホールドの溝の底が、小さく山型になっていますね。これはプロクソンの丸ノコ盤で加工した跡です。
こんな感じでリリーサ(トリガー)は前進していきますが、引く位置は変わりません。これが「遠ざかるのに遠ざからないトリガー」という手品の種です。
そのカタチゆえ、肩の高さで構えるより腰だめにした方が楽です。フレーム側面に貼り付けた半丸棒は腰だめ用のフォアグリップになります。
シナベニヤが主材です。
グリップにはケヤキを使用。
クリアのウレタン塗料を溶剤で薄め、オイル塗装風に拭き仕上げしました。
「百聞は一見にしかず」ということで射撃シーンを動画でご覧ください。 やたらと前進したがるリリーサも見ることができます。
射撃動画
<制作年> 2012年3月
<モデル名> P310 BREAD KNIFE ブレッドナイフ
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 428ミリ
<銃身長> 220〜265ミリ
<装弾数> 6発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> シナベニヤ、ヒノキ、ケヤキ、ラミン、竹串
<仕上げ> 薄めたウレタンによる拭き仕上げ
2012.04.01 UP