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P307 ダルク
OGG CRAFTの手作りゴム銃・ゴム鉄砲
P301アークの省パーツ化バージョン

p307
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上の作品は2002年制作のP301アーク。
実物を手に取ると、経年による黄変ぶりはかなりのものです。(まあ、アガチスに木彫オイルの組合わせだったので、こうなるのもしかたないですが。)
でもこれ、ステップアップ連発銃としては作者初の作品で、それなりに会心のモデルなのです。
そこで2011年の事始めとして再デザイン化を決意。2挺を仕上げました。

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ひとつはオリジナルをコピーしただけのリメイク版(左)。
もうひとつは、構造を見直して省パーツ化を図ったP307ダルクです(右)。
トリガーガードにグリップが取り付くデザインは2002年製のオリジナルを踏襲しました。
それにしても、2挺のルックスはほとんど同じ。作者も見間違えるほどです。

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左・・・P301アーク(リメイク版)  右・・・P307ダルク

このページの主役はもちろん省パーツ版のP307ダルクなんですが、まずは前フリとして、リメイク版の仕組みの説明から入ろうと思います。
でないと、ダルクはどこをどう省パーツ化したのかわからないので。

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アーク(リメイク版)のホールドステップに輪ゴムを装填したところです。
横長のトリガー用の軸穴がこのモデルの特徴。

まずトリガーを引いて、リリーサを後方へスライドさせ(横長の軸穴のなせるワザ)、先端を輪ゴムの下に滑り込ませたあと、上方向へ回転させて輪ゴムを一斉に1段上のホールドへせり上げます。最上段の輪ゴムは保持される場所がないので、そのまま発射されます。
(赤い矢印の動き)

トリガーの戻しでは、行きと同じルートをたどると、直下の輪ゴムにリリーサが引っ掛かってしまいます。そのため、リリーサは前方へショートカット的に抜けながら元に戻る必要があります。
(グリーンの矢印の動き)

それでは、どのような仕組みでこの行きと帰りのルートを変えているか、ですが・・。

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フタを開けてみました。
一体型のトリガー&リリーサの上に小さなパーツがありますね。以降これを回転ピースと呼びますが、このパーツ、トリガーの引き動作に対しては固定ガイドの役割を果たし、トリガー&リリーサの上方への回転動作を抑えこんでいます。

さらに引き続けると、トリガー&リリーサのへこんだ部分が回転ピースに到達。スペースが生まれることで、上方向への回転が許され輪ゴムをせり上げます。

トリガーの戻しでは、回転ピースは後ろから押されると回る構造になっているため、リリーサは難なく前方へ抜けられます。
回転ピースはちょうど弁のような働きをするわけですね。

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もちろん2002年製のオリジナル(左)にも回転ピースはしっかり組み込まれていたのでした。

こんな感じで、P301アークはトリガー&リリーサの挙動を行きと帰りで変えているわけですが、このへんの仕組みを踏まえてもらったところで・・・


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ここからは新作のP307ダルクの説明に入ります。
「可動パーツ1点で、P301アークと同様の2次元アクションを実現する」がコンセプト。つまり、P301アークから回転ピースをなくしちゃおうというわけです。
2002年のオリジナル制作当時も、最初は同じようなことを考えたのですがうまくいかず、結局、回転ピースのアイデアにたどり着いたという経緯がありました。
でも、もう少し煮詰めれば、なんとかなりそうな感触もあったので、今回それにチャレンジしてみることにしたのです。

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6発の輪ゴムをフル装填したところ。P301アークと同じく、リリーサは行きと帰りでコースが変わります。
それにしてもこの絵だと、ダルクとリメイク版はほとんど見分けがつきませんね。トリガーの軸穴の有無が唯一の識別ポイント。

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中身です。
可動パーツは一体型のトリガー&リリーサのみ。アークに比べると格段にスッキリしました。
ところでトリガーがこの形状だと、モーメントの関係で必ず回転動作から始めようとしますが、引き始めは真っすぐ後退してもらわないと輪ゴムをとらえることができません。
そのためには、なにか手を打つ必要があるわけです。
結局、キモになったのは次の4点でした。

1. トリガーを直進させるためのガイド
2. トリガースプリングの位置
3. トリガーの動きを上方向へ変える斜面
4. トリガー上部の空間

1. と 2. で引き始めのトリガーの直進運動を確保し、
3. の斜面に当てて、リリーサの動きを上方向へ変え、
4. の空間を利用して、リリーサをショートカット的に前へ抜けさせると言うわけです。
答えを見ると簡単そうですが、このレイアウトを導き出すのに、試行(思考)錯誤を何回も繰り返したのでした。

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トリガーガードには、トリガーを直進させるための1. のガイドの役目もあります。
トリガーを引いている間、トリガーの先っぽは、ずっとここを撫でることになります。

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トリガー軸の概念をなくしたことが、このモデルのブレークスルーポイントになりました。
トリガーはきっちりと固定されることなく、フレームの中の空間にダルな感じに収まります。(なので名前はダルク=ダルなアークです)

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トリガースプリング(牽引ゴム)は当初、前方から引っ張るつもりでしたが、場所や引っ張る方向をいろいろ変えても、トリガーの引き始めの回転動作を阻止することはできませんでした。
そこで、牽引場所をリリーサ下部に変更。やっとイメージどおりの動線を描いてくれるようになったのです。
牽引ゴムを収めるためのグリップベースの切り込みは、最初は予定になく、やむなくあとから加えたものです。

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フレームパネル、トリガー、トリガーガードはシナベニヤ。グリップはケヤキです。バレルはヒノキを使用。
サンディングシーラで下地を整えたあと、クリアラッカーのスプレーで仕上げました。

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トリガースプリングの替わりに、ウレタン製の小さなヘアバンドを使っていますが、これが妙に硬い。
制御パーツを別仕立てにして、スプリングを使ったアーク(リメイク版)のほうが、トリガーのキレ感は上です。
ここは要改善ポイントですね。


● 諸 元 ●

<制作年> 2011年2月
<モデル名> P307 DARC ダルク
<カテゴリー> ハンドガン
<全長> 320ミリ
<銃身長> 285ミリ
<装弾数> 6発
<使用弾> #16輪ゴム
<作動> セミオート
<素材> シナベニヤ、ヒノキ、ケヤキ、ヒートン
<塗装> クリアラッカー仕上げ

2011.02.24 UP

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