CNCルーター(STEPCRAFT-2 420)の導入にあたり、一番気になっていたのは騒音です。
※CNCの導入レポートはこちら
実際に動かしてみると、事前の予想よりだいぶマシで、マルノコやトリマーのような凶悪な音質・音量でないのが救いでしたが、それでもずっとマシンのそばにいると、だんだんつらくなってくるレベルの音はします。
そこで防音ボックスを作ることにしました。
材料は18ミリ厚のMDFを選択。この厚さのものは近所のホームセンターにはなく、もしあったとしてもカットサービスの精度に不安があったので、ネットでカットサイズを指定できるところを探し、そこから購入。
余談ですが、作ろうとしているボックスはそれなりの体積が必要で、材料の重量も相当なもの。おそらく30-40kgはあるはず。
オーダー時、なにやら嫌な予感がして、届け先を自宅にしなかったのですが、これが正解で、届いた時の荷姿はパレット積みの状態でした。
フォークリフトがなかったらどうしようもなく、もし家人しかいない自宅に直送されていたら、えらいことになってました。
いきなりですが、完成品です。
凝ったところもなく、ただの扉付きのボックスです。ネジどめに向かないMDFですが、あとの事を考えてあえてコーススレッドだけで接合。
STEPCRAFTのCNCは高さ方向の可動域が大きいため、出来上がったボックスもかなりのサイズ(W540x H660x D710ミリ)になりました。
使い勝手やメンテを考え、マシンの下にもMDFの板を敷き、前方へ引っ張り出せるようにしました。
天面はPC置場です。
さて、肝心の防音効果ですが、体感だけでなくデータで比較してみることに。
CNCをボックスに入れた状態で、スピンドルを常用域のスピードで空運転。騒音測定アプリを起動して、レベルが80dbを示す場所へiphoneを設置。
条件によりこのレベルがどれぐらい変化するかテストします。
ちなみにテスト時の部屋の暗騒音は40dbぐらい。
●MDFボックスのみ
扉を開けた状態・・・80db
扉を閉めた状態・・・63db
一気に17dbほどダウンしました。数値、体感ともなかなかの好成績です。MDF、なかなかのもんです。もしかしたら夜間でも回せるんじゃね?と感じさせるほど。
硬くて重いMDFは遮音性能だけと言えるので、次に吸音対策も加えます。
まず、家に転がっていた薄いカーペット素材をマシンの下に2枚重ねで敷きます。
そして、5ミリ厚の段ボールと厚めのプチプチを使って、段ボール→プチプチ→段ボール→プチプチの4層構造の吸音シートを作成。それを底面と前面を除いた内側4面に貼りこみました。
●MDFボックス+4面吸音シート
扉を開けた状態・・・77db
扉を閉めた状態・・・57db
吸音シートのおかげか、扉を開けていても音がやわらかくなりました。
適当に作った手製のシートでしたが、それなりの効果があったようです。
扉を閉めると57dbと目標のアンダー60dbを達成。これなら本当に夜間でも回せそうです。
ダメ押しとして前面扉の内側にも吸音シートを貼ることにします。スペースに余裕があるので、ここだけ段ボールとプチプチを6層構造にして分厚くしました。
●MDFボックス+5面吸音シート
扉を開けた状態・・・77db
扉を閉めた状態・・・53db
さらに効果ありです。扉に吸音シートを追加しただけで4db改善。最初の80dbに比べると27dbのダウンとなりました!
ボックスの上から布団でもかぶせれば、30dbダウンも簡単に実現しそうな勢いです。
実際はこれに切削音が加わります。使用するエンドミルや切削深度、切削スピード、材料等で聞こえ方は変化しますが、それでも60db台はキープできます。
最後に、同じ防音ボックスでも設置場所によって騒音レベルはかなり変わります。上のテストは寝室での結果。工作室(と称する納戸)でテストすると、明らかに工作室のほうがうるさく、家中にモワーンとなにやら響いている感じがします。
そのため、CNCの置場は当面、寝室ということになりそうです。
2015.10.18 UP